日本経済新聞 「がん社会を診る」から
福島第1原子力発電所の多核種除去設備処理水とは、事故で発生した汚染水からトリチウム以外の放射性物質を安全基準以下まで除去した水です。
トリチウムは天然に存在する水素の同位元素で、「トリチウム水」は私たちの体のなかにも存在します。
天然のトリチウムよりずっと少ない量ですが、原発でもトリチウムは必ず発生するため、国内外の原発から放出されています。
福島第1原発でも事故前は年間22兆ベクトルを放出管理目標値としていました。
日本の降水中のトリチウムは年間200兆ベクトルを超えています。
中国の原発1基から放出されるトリチウムの量は年間 100兆ベクトルを超える例も見られますから、中国の措置は一方的なものともいえます。
処理水の海洋放出における国の安全基準は1mlあたり6万ベクトルです。
実際には40分の1の同1500ベクトルまで希釈しています。
福島第1原発では、ヒラメなどを放出濃度の同1500ベクトルに近いトリチウムを含む海水で飼育しています。
ヒラメの体内トリチウム濃度は24時間で海水の濃度より下がり、その後横ばいになりました。
通常の海水に戻すと、24時間で放出できないくらいまでの値にまで下がりました。
トリチウムが体内で濃縮されることはないわけです。
仮に1㎏あたり1500ベクトルのトリチウムを含んだヒラメを毎日1㎏食べたとしても、年間の被ばくは0.01mmシーボルトにしかなりません。
処理水の2~3キロ離れるとトリチウムの濃度は無海水と同程度になりますから、影響はほぼ皆無といえるでしょう。
そもそも私たちは毎日放射線を浴びながら生活しています。
大地や宇宙から受ける外部被ばくと、食品からの内部被ばくを合計すると、日本平均で年間2.1 mmシーボルトになります。
医療被ばくは、2.6 mmシーボルト
自然被ばくと合わせると、1年で5 mmシーボルト程度の放射線を浴びています。
処理水の海洋放出の安全性は国際原子力機関や世界中の専門家が認めています。
根拠に欠ける主張は控えてほしいものです。
今日の報道で、岸田総理が官邸で、福島産のヒラメを食べられていましたが、そういう背景があったのですね。
漁業関係者が「安全」ではあるが、「安心」ではないという言葉を話されていましたが、「安心感」という目に見えないものが、特に大切なのでしょうね
中国が、福島産だけではなく、日本でとれた海産物をすべて輸入禁止したのは、自国民のためではなく、今回のことを政治利用としたいというゆがんだ思惑があるのだとも思います。
中国がどんどん原発を立て、日本以上にトリチウムを放出していながら、日本の放出水を核汚染水と呼ぶのはその一環なのではないでしょうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿