2023年12月1日金曜日

入浴時の血圧上昇・血圧低下にお気を付けを


ずいぶん朝が寒くなってきました。

ご存じの方も多いと思いますが、お風呂の中で亡くなる方は交通事故で亡くなる方の約3倍にも上ります。

欧米の家は家の中全体を温めるようになっていますが、日本は「部屋」を温めるので、家の中の温度差がかなり大きくなります。

特に入浴時には寒い脱衣所や浴室で服を脱ぐことで体表の温度が下がり、交感神経が働いて血管が収縮し、血圧が上がります。

さらに、お湯につかると、温熱の刺激によって交感神経の働きが活発になるため、血圧が急上昇します。

その後徐々に血管が拡張して血圧が下がり、お湯から出た直後に一時的に急降下し、こうした入浴に伴う血圧の急上昇・急降下は、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めることになります。

血圧が上昇すると、血管壁が傷ついて出血を起こしたり、血栓ができやすくなって血流をせき止めたりする

一方、血圧が低下すると、血流が滞ることで血栓ができやすくなったりもします。

お湯から出た直後に血圧が急に下がるのは、体にかかっていた水圧がなくなることと、温熱により血管が広がっているためで、このとき起立性低血圧が起こりやすく、脳への血流が一時的に低下すると脳梗塞を起こしたり、気を失って倒れ、浴槽で溺れてしまうこともあります。

よく言われるように脱衣所を少し温めておくだけでも大きくリスクを減らせます。
気軽に考えずにお気を付けを

2023年11月1日水曜日

運動でどれだけがんを減らせるのか?


日本経済新聞 「がん社会を診る」から

ウオーキングなどの活発な運動を週に5日以上行っている人は、ほとんど運動しない人に比ベ、がんの発症リスクが2割も減ることが、144万人を11年間追跡した大規模な調査から明らかになっています。

これは米国や欧州で行われた結果ですが、日本人約10万人を追跡した研究でも、運動によるがんの予防効果は、大腸がんではほぼ確実、乳がんでも可能性ありとされています。

運動によるがん予防のメカニズムは完全に解明されているわけではありませんが、大腸がんの場合、運動で消化管の活動が高まって便通がよくなり、便に含まれる発がん物質が大腸にとどまる時間が短くなるのが理由の一つと考えられます。

インスリンはがん細胞を増殖させますが、運動によって血糖値が下がると膵臓から分泌されるインスリンの量が減るので、運動による発がん抑制の理由と考えられています。

乳がんは女性ホルモンのエストログンがリスクを高めますが、運動によって脂肪組織から分泌されるエストログンが減るため、乳がんの予防につながると思われます。

健康によいエクササイズといえば、ウオーキングやジョギングといった有酸素運動をイメージする人が多いと思いますが、腕立て伏せやスクワットなどの筋力トレーニングもがんを予防する有力な手段です。

30歳以上の8万人の英国人を対象にした調査では、週2国以上筋トレを行っている人は、全死因による死亡リスクが23%低く、がんによる死亡リスクも31%低いことが明らかになっています。

専用マシンを使わない筋トレでも、ジムなどの専用マシンと同等の効果があることも分かっていて、筋トレによるがん予防の効果は週30分がもっとも高く、週130分を超えるとマイナスになることが分かっています。

筋トレによる総死亡抑制効果についても週40分がベストで、週140分を超えると逆効果になりました。

有酸素運動と同様、過剰な筋トレはマイナスになります。

もっとも、「やり過ぎ」は少数派。ほとんどの人は、運動も筋トレも足りていません。

過ぎたるは・・・とも言われますが、やっぱり体にとって良い運動というのがあるのですね。

筋肉をつけるのも毎日運動をするよりも1日おきにするほうが、筋肉を修復する段階でついてよいといわれています。

運動を始める前にストレッチをすると、しなやかな筋肉がつくことも分かっていますので、良いですね

2023年10月1日日曜日

人が一生のうちにがんにかかる率は

生涯累積がん罹患リスク (一生のうち何らかのがんを発症する確率) 
国立がん研究センター 2017年

男性 65.5% 女性 50.2%
男性の3人に2人、女性の2人に1人ががんにかかる時代になっています。

1年間に新たにがんと診断される日本人

男性 約57万人 女性 約44万5000人

2030年度予測

男性 約64万人 (約12%増) 女性 約53万人 (約19%増)

臓器別発症箇所

男女合わせると多い順に  胃、大腸、肺、乳房、前立腺

死亡数  2013年度

死亡数 365,000人 男性 約217,000人 女性 約148,000人
男女合わせると多い順に  胃、大腸、膵臓、肝臓

5年相対生存率  2013~2015年4月20日

58.6%

5年相対生存率、臓器別

乳房、前立腺、甲状腺、皮膚は治りやすく9割に達する

大腸、子宮、膀胱、咽頭、腎臓は65% 胃、卵巣、悪性リンパ腫は55% 食道34%、肺30%、肝臓28%、膵臓7%

あまり悲観的になってもいけませんが、がんは今治る時代になってきているので、がん保険など備えは必要ですね。

2023年9月1日金曜日

原発処理水は、安全なのか?

日本経済新聞 「がん社会を診る」から

福島第1原子力発電所の多核種除去設備処理水とは、事故で発生した汚染水からトリチウム以外の放射性物質を安全基準以下まで除去した水です。

トリチウムは天然に存在する水素の同位元素で、「トリチウム水」は私たちの体のなかにも存在します。

天然のトリチウムよりずっと少ない量ですが、原発でもトリチウムは必ず発生するため、国内外の原発から放出されています。

福島第1原発でも事故前は年間22兆ベクトルを放出管理目標値としていました。

日本の降水中のトリチウムは年間200兆ベクトルを超えています。

中国の原発1基から放出されるトリチウムの量は年間 100兆ベクトルを超える例も見られますから、中国の措置は一方的なものともいえます。

処理水の海洋放出における国の安全基準は1mlあたり6万ベクトルです。

実際には40分の1の同1500ベクトルまで希釈しています。

福島第1原発では、ヒラメなどを放出濃度の同1500ベクトルに近いトリチウムを含む海水で飼育しています。

ヒラメの体内トリチウム濃度は24時間で海水の濃度より下がり、その後横ばいになりました。

通常の海水に戻すと、24時間で放出できないくらいまでの値にまで下がりました。

トリチウムが体内で濃縮されることはないわけです。

仮に1㎏あたり1500ベクトルのトリチウムを含んだヒラメを毎日1㎏食べたとしても、年間の被ばくは0.01mmシーボルトにしかなりません。

処理水の2~3キロ離れるとトリチウムの濃度は無海水と同程度になりますから、影響はほぼ皆無といえるでしょう。

そもそも私たちは毎日放射線を浴びながら生活しています。

大地や宇宙から受ける外部被ばくと、食品からの内部被ばくを合計すると、日本平均で年間2.1 mmシーボルトになります。

医療被ばくは、2.6 mmシーボルト

自然被ばくと合わせると、1年で5 mmシーボルト程度の放射線を浴びています。

処理水の海洋放出の安全性は国際原子力機関や世界中の専門家が認めています。

根拠に欠ける主張は控えてほしいものです。


今日の報道で、岸田総理が官邸で、福島産のヒラメを食べられていましたが、そういう背景があったのですね。

漁業関係者が「安全」ではあるが、「安心」ではないという言葉を話されていましたが、「安心感」という目に見えないものが、特に大切なのでしょうね

中国が、福島産だけではなく、日本でとれた海産物をすべて輸入禁止したのは、自国民のためではなく、今回のことを政治利用としたいというゆがんだ思惑があるのだとも思います。

中国がどんどん原発を立て、日本以上にトリチウムを放出していながら、日本の放出水を核汚染水と呼ぶのはその一環なのではないでしょうか。

2023年8月1日火曜日

脳疲労って何?

体の内部環境を一定に保つのを支えるのが自律神経で、脳が管理しています。

夏は体温調節のため脳は多くのエネルギーを使って自律神経を働かせているが、脳の仕事は体温調節のほかにもたくさんあります。

体温調節のために力を注ぎすぎると脳の余力が減り、体の微妙な調節に支障が出て、めまいや胃腸の不調などが起きやすくなってきます。

季節の変わり目に風邪をひきやすくなるのも同じ理由です。

脳内の神経伝達物質の分泌のバランスが崩れると、気持ちの症状にも影響を与えます。

対策は・・・

余力の減った脳をいたわること

まずエネルギー補給の源の食事、量より質が大切で、ビタミンやミネラル類を普段より意識して食べるようにするといいですね。

次に睡眠で、深部温度が少し下がると眠りやすくなるので、寝る前にぬるめのお風呂や足湯で軽く温めておくと、皮膚から放熱して睡眠を促します。

扇風機を利用したり、エアコンで温度を下げたりするほか、熱のこもりにくい寝具もいいです。

忙しくても脳が喜ぶ楽しいことに時間を作るようにする。

対策をしても気分の落ち込みが改善しない場合は、心の専門家を訪ねるようにする。

最近では“疲れ”は体の疲れよりも“自律神経”の疲れが大きいともいわれています。

体の負担が増えやすい時期ですので、なるべく対策したいですね。

2023年7月1日土曜日

がんの原因の1位は何か?

日本人の男性の3人に2人、女性の2人の1人が、一生の間にがんに罹患しています。 それだけ、長生きしているということも言えるのかもしれませんが、がんになった本人や家族、周りの方には、大変な問題です。 日本人のがんの1番にあげられる原因は・・ 現在の日本人でがんの原因の1位は、“感染症”です。 胃がんの原因の多くを占める「ピロリ菌」 子宮頸がんの原因になる「ヒトパピローマウイルス」 肝がんの原因になる「肝炎ウイルス」 親からの体質は似ますので、遺伝的な要因もありますが、数%とされ、多くはありません。 そのほかに、たばこ、大量飲酒、ストレス、運動不足・・・ 完全にリスクを「0」にすることはできませんが、感染症のリスクは減らせますし、 生活習慣の改善で他の原因のリスクも減らせます。 胃がんはステージⅠで発見された場合は、5年生存率は90%以上になっていて、早期発見・早期治療が大きな分かれ道になります。

2023年6月1日木曜日

いまあらためてのIPS細胞とは

幹細胞とはもともと体の中にあり、分裂して増殖しながら、ほかの種類の細胞を生み出すことのできる細胞です。 造血幹細胞、皮膚を作る上(じょう)皮(ひ)細胞、神経を作る神経幹細胞など、さまざまな種類があります。 IPS細胞とは日本語で、人工多様性幹細胞 多様性 血液の細胞や神経細胞をはじめ、あらゆる細胞になれる能力があります。 初期化とは細胞に多様性を持たせるには、受精卵が分裂していく初期の段階の「胎(たい)盤(ばん)胞(ほう)」の状態まで戻す必要があります。 いわば、細胞を“初期化”します。 特定の4種類の遺伝子を投入することで、細胞は初期化され、IPS細胞ができます。 こうしてできたIPS細胞に対して、それぞれ適切な物質を加えて刺激を与えると、増殖して血液の細胞や皮膚の細胞、神経細胞、心筋細胞などに誘導されていきます IPS細胞はあらゆる細胞になれる夢のような細胞です。 まさにノーベル賞に値する大発見ですね。

2023年5月1日月曜日

基礎代謝量を上げるには。

基礎代謝とは生きているだけで消費するエネルギーのことです。 生きているだけで消費されるエネルギーであり、ヒトが1日に消費するエネルギー量の約60%にあたります。 基礎代謝は身体の各部位で行われており、もっとも基礎代謝量が多いのは筋肉で、基礎代謝総量の20%ほどを占めます。 つまり筋肉を増やせば基礎代謝量も増えるため、太りにくい体を作ることができるといえるのです。 また、基礎代謝量は加齢とともに減少します。 これは、筋肉などの除脂肪組織(脂肪以外の組織)が減少し、臓器の活動機能も低下するためです。 基礎代謝量を上げるには 筋肉量を増やす 筋肉は基礎代謝量の20%を消費する器官。 そのため、運動や筋肉トレーニングで筋肉量を増やせば基礎代謝量は多くなる。 体温を上げ血行をよくする 入浴やあたたかい食事の摂取、運動などで血行を促進し、体温を1度上げると、基礎代謝量が11~12%増加するといわれている。 深い呼吸をする 深い呼吸で酸素を多く取りこめば、エネルギー消費の効率が上がる。 また、腹式呼吸では横隔膜などのインナーマッスルを鍛えることもできる。 腸内環境を整える 腸内で善玉菌が生み出す短鎖脂肪酸により、腸のぜんどう運動や内臓全体の働きが活発になって、エネ ルギー消費が増える。 正しい姿勢で過ごす 姿勢を正しくすると、正しい位置に戻った内臓の動きや働きがよくなり、血行も改善され、基礎代謝量が増える。 人体の基本 工藤 孝文著から 総エネルギー消費量の半分以上は基礎代謝量が占めます。 年齢とともに太りやすくなってしまう原因の一つに基礎代謝量の減少があります。 無理は続かないので、無理せず基礎代謝量を上げる日常はその後に大きな差が生まれることになりますね。

2023年4月1日土曜日

がん検診はなぜ毎年受ける必要があるのか

がんは男性が生涯のうちに3人に1人、女性が2人に1人かかる身近な病気になっています。 ただ、命にかかわる病気なので簡単にとらえることはできません。 早期発見・早期治療が一番大切で、各健康診断が推奨されています。 がん細胞は最初に発生してから10~20年くらいで約1㎝の大きさになります。 1㎝くらいから発見されて、1㎝以下のがんの診断は現在の医学では難しくなっています。 早期がんは2㎝までのがんのことですが、2㎝までは症状が出ることはあまりありません。 1㎝のがんが2㎝までに大きくなるのには1~2年程度かかります。 現在の治療では2㎝までのあいだにがんを見つけることができれば、9割以上の完治ができます。 自覚症状がなくても毎年診断を受けることで、2つの分かれ道の行く末が大きく変わることになります。 2~3年ほっておくと、前は発見できなかったがんが、もう転移するほど大きくなってしまっていたということも考えられます。 転ばぬ先の杖の意識が大切ですね

2023年3月2日木曜日

加齢臭の原因物質は?

                                        本内容から  加齢臭は皮脂成分が酸化することで発生し、中年以降の男女によくみられる体臭ですが、若くても体の酸化が進んでいる場合は発生する可能性があります。 主に腋や耳、首の後ろ、後頭部などに出やすいといわれ、自分ではなかなか気づきにくいのがやっかいなところです。 いちばんの原因と考えられているのが、皮脂腺の中にある「2-ノネナール」という物質。 加齢とともに増加する脂肪酸が体内の活性酸素と結びついて2-ノネナールに変化します。 体内と体外、両方から予防するのがよいとぃわれています。 体内からの予防には脂質を授りすぎないこと、アルコールを飲みすぎないことです。 脂質を多く摂取すると皮脂の分泌量が増加し、2-ノネナールが発生しやすくなります。 アルコールの飲みすぎは活性酸素を増やします。 体外からの予防はシャワーを浴びるだけでなく、40~ 42℃ の湯船にしっかりと浸かるのが有効。 入浴で汗をかくと汗腺内が掃除されます。 さらに臭いが出やすい部位をしっかり洗うと、臭いの解消が期待できます。 人の五感の中で一番働いているのは「目」ですが、人間以外の動物は「鼻」です。 自分の身を守るために欠かせないものだからです。 人も動物なので、異質なにおいを「危険」と判断してしまいます。 あまりにきれいに固執するのはちょっと思いますが、エチケットは大切にしたいですね。

2023年2月1日水曜日

年代別のがんの罹患率は

         日本経済新聞 「がん社会を診る」から 日本人男性の場合、55歳までにがんを罹患(りかん)する確率は5% 65歳までには13% 75歳までには32% 85歳までには53% 生涯では65.5%  3人に2人 日本人は戦後しばらくは死亡原因の1位は心臓病でした。 現在でも外国では死亡原因の1位が心臓病の国はたくさんあります。 それだけ日本は医療が発展して、日本人が長生きする時代になったということでもあります。 人生100年時代とも言われ、まだいきいきと社会で活動中にもかかわらず、がんにかかってしまうこともあります。 昭和の初期の時代では、がんの中で胃がんが一番死亡率が高かったのですが、 現在ではステージⅠ(粘膜にとどまっている場合)では、99%以上の確率で助かります。 やはり早期発見と早期治療がとても大切になってきますね。