2024年2月1日木曜日

低温での死亡者数は、熱中症の30倍・・・!


          「日本経済新聞 がん社会を診るから」 抜粋掲載

一年のなかで、日本人の死亡がもっとも多いのが、今の時期です。

がんや自殺に季節要因はほとんどみられませんが、心筋梗塞、脳卒中(脳梗塞や脳内出血)、肺炎、老衰などは冬に多く、夏に少ないのが特徴です。

このため、月別死亡数では1月がトップになるわけです。

世界トップクラスの医学雑誌ランセツトに15年に掲載された論文は、日本を合む13カ国を対象に気温が死亡数に与える影響を分析しています。

日本では低温が死因の9.8%を占めたのに対して、熱中症など高温による死亡は0.3%余りにすぎません。

低温の影響は高温の30倍以上になるのです。

日本でも北海道は断熱性の高い家屋が多く、冬と夏の死亡率の差は大きくありません。

吉田兼好も徒然草のなかで「一家の作りょうは、夏をむねとすべし」と書いていて、当時としては正解だったかと思います。

しかし今は、冬でも暖かい家が求められていると言えるでしょう。

湿度の高い日本では通気性が求められ、木造の家がそれに適していたのだとも思います。

熱中症の死亡はマスコミにもしばしば取り上げられますが、低温のほうは出されることはあまりありません。

血圧は心臓よりも高い位置にある脳に血液を送るために高くなっているので、首が冷えて血管が収縮すると血圧は急上昇してしまいます。

マフラーなどで冷やさないことも血圧上昇を防ぐ手段になります。

2023年12月1日金曜日

入浴時の血圧上昇・血圧低下にお気を付けを


ずいぶん朝が寒くなってきました。

ご存じの方も多いと思いますが、お風呂の中で亡くなる方は交通事故で亡くなる方の約3倍にも上ります。

欧米の家は家の中全体を温めるようになっていますが、日本は「部屋」を温めるので、家の中の温度差がかなり大きくなります。

特に入浴時には寒い脱衣所や浴室で服を脱ぐことで体表の温度が下がり、交感神経が働いて血管が収縮し、血圧が上がります。

さらに、お湯につかると、温熱の刺激によって交感神経の働きが活発になるため、血圧が急上昇します。

その後徐々に血管が拡張して血圧が下がり、お湯から出た直後に一時的に急降下し、こうした入浴に伴う血圧の急上昇・急降下は、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めることになります。

血圧が上昇すると、血管壁が傷ついて出血を起こしたり、血栓ができやすくなって血流をせき止めたりする

一方、血圧が低下すると、血流が滞ることで血栓ができやすくなったりもします。

お湯から出た直後に血圧が急に下がるのは、体にかかっていた水圧がなくなることと、温熱により血管が広がっているためで、このとき起立性低血圧が起こりやすく、脳への血流が一時的に低下すると脳梗塞を起こしたり、気を失って倒れ、浴槽で溺れてしまうこともあります。

よく言われるように脱衣所を少し温めておくだけでも大きくリスクを減らせます。
気軽に考えずにお気を付けを

2023年11月1日水曜日

運動でどれだけがんを減らせるのか?


日本経済新聞 「がん社会を診る」から

ウオーキングなどの活発な運動を週に5日以上行っている人は、ほとんど運動しない人に比ベ、がんの発症リスクが2割も減ることが、144万人を11年間追跡した大規模な調査から明らかになっています。

これは米国や欧州で行われた結果ですが、日本人約10万人を追跡した研究でも、運動によるがんの予防効果は、大腸がんではほぼ確実、乳がんでも可能性ありとされています。

運動によるがん予防のメカニズムは完全に解明されているわけではありませんが、大腸がんの場合、運動で消化管の活動が高まって便通がよくなり、便に含まれる発がん物質が大腸にとどまる時間が短くなるのが理由の一つと考えられます。

インスリンはがん細胞を増殖させますが、運動によって血糖値が下がると膵臓から分泌されるインスリンの量が減るので、運動による発がん抑制の理由と考えられています。

乳がんは女性ホルモンのエストログンがリスクを高めますが、運動によって脂肪組織から分泌されるエストログンが減るため、乳がんの予防につながると思われます。

健康によいエクササイズといえば、ウオーキングやジョギングといった有酸素運動をイメージする人が多いと思いますが、腕立て伏せやスクワットなどの筋力トレーニングもがんを予防する有力な手段です。

30歳以上の8万人の英国人を対象にした調査では、週2国以上筋トレを行っている人は、全死因による死亡リスクが23%低く、がんによる死亡リスクも31%低いことが明らかになっています。

専用マシンを使わない筋トレでも、ジムなどの専用マシンと同等の効果があることも分かっていて、筋トレによるがん予防の効果は週30分がもっとも高く、週130分を超えるとマイナスになることが分かっています。

筋トレによる総死亡抑制効果についても週40分がベストで、週140分を超えると逆効果になりました。

有酸素運動と同様、過剰な筋トレはマイナスになります。

もっとも、「やり過ぎ」は少数派。ほとんどの人は、運動も筋トレも足りていません。

過ぎたるは・・・とも言われますが、やっぱり体にとって良い運動というのがあるのですね。

筋肉をつけるのも毎日運動をするよりも1日おきにするほうが、筋肉を修復する段階でついてよいといわれています。

運動を始める前にストレッチをすると、しなやかな筋肉がつくことも分かっていますので、良いですね

2023年10月1日日曜日

人が一生のうちにがんにかかる率は

生涯累積がん罹患リスク (一生のうち何らかのがんを発症する確率) 
国立がん研究センター 2017年

男性 65.5% 女性 50.2%
男性の3人に2人、女性の2人に1人ががんにかかる時代になっています。

1年間に新たにがんと診断される日本人

男性 約57万人 女性 約44万5000人

2030年度予測

男性 約64万人 (約12%増) 女性 約53万人 (約19%増)

臓器別発症箇所

男女合わせると多い順に  胃、大腸、肺、乳房、前立腺

死亡数  2013年度

死亡数 365,000人 男性 約217,000人 女性 約148,000人
男女合わせると多い順に  胃、大腸、膵臓、肝臓

5年相対生存率  2013~2015年4月20日

58.6%

5年相対生存率、臓器別

乳房、前立腺、甲状腺、皮膚は治りやすく9割に達する

大腸、子宮、膀胱、咽頭、腎臓は65% 胃、卵巣、悪性リンパ腫は55% 食道34%、肺30%、肝臓28%、膵臓7%

あまり悲観的になってもいけませんが、がんは今治る時代になってきているので、がん保険など備えは必要ですね。

2023年9月1日金曜日

原発処理水は、安全なのか?

日本経済新聞 「がん社会を診る」から

福島第1原子力発電所の多核種除去設備処理水とは、事故で発生した汚染水からトリチウム以外の放射性物質を安全基準以下まで除去した水です。

トリチウムは天然に存在する水素の同位元素で、「トリチウム水」は私たちの体のなかにも存在します。

天然のトリチウムよりずっと少ない量ですが、原発でもトリチウムは必ず発生するため、国内外の原発から放出されています。

福島第1原発でも事故前は年間22兆ベクトルを放出管理目標値としていました。

日本の降水中のトリチウムは年間200兆ベクトルを超えています。

中国の原発1基から放出されるトリチウムの量は年間 100兆ベクトルを超える例も見られますから、中国の措置は一方的なものともいえます。

処理水の海洋放出における国の安全基準は1mlあたり6万ベクトルです。

実際には40分の1の同1500ベクトルまで希釈しています。

福島第1原発では、ヒラメなどを放出濃度の同1500ベクトルに近いトリチウムを含む海水で飼育しています。

ヒラメの体内トリチウム濃度は24時間で海水の濃度より下がり、その後横ばいになりました。

通常の海水に戻すと、24時間で放出できないくらいまでの値にまで下がりました。

トリチウムが体内で濃縮されることはないわけです。

仮に1㎏あたり1500ベクトルのトリチウムを含んだヒラメを毎日1㎏食べたとしても、年間の被ばくは0.01mmシーボルトにしかなりません。

処理水の2~3キロ離れるとトリチウムの濃度は無海水と同程度になりますから、影響はほぼ皆無といえるでしょう。

そもそも私たちは毎日放射線を浴びながら生活しています。

大地や宇宙から受ける外部被ばくと、食品からの内部被ばくを合計すると、日本平均で年間2.1 mmシーボルトになります。

医療被ばくは、2.6 mmシーボルト

自然被ばくと合わせると、1年で5 mmシーボルト程度の放射線を浴びています。

処理水の海洋放出の安全性は国際原子力機関や世界中の専門家が認めています。

根拠に欠ける主張は控えてほしいものです。


今日の報道で、岸田総理が官邸で、福島産のヒラメを食べられていましたが、そういう背景があったのですね。

漁業関係者が「安全」ではあるが、「安心」ではないという言葉を話されていましたが、「安心感」という目に見えないものが、特に大切なのでしょうね

中国が、福島産だけではなく、日本でとれた海産物をすべて輸入禁止したのは、自国民のためではなく、今回のことを政治利用としたいというゆがんだ思惑があるのだとも思います。

中国がどんどん原発を立て、日本以上にトリチウムを放出していながら、日本の放出水を核汚染水と呼ぶのはその一環なのではないでしょうか。

2023年8月1日火曜日

脳疲労って何?

体の内部環境を一定に保つのを支えるのが自律神経で、脳が管理しています。

夏は体温調節のため脳は多くのエネルギーを使って自律神経を働かせているが、脳の仕事は体温調節のほかにもたくさんあります。

体温調節のために力を注ぎすぎると脳の余力が減り、体の微妙な調節に支障が出て、めまいや胃腸の不調などが起きやすくなってきます。

季節の変わり目に風邪をひきやすくなるのも同じ理由です。

脳内の神経伝達物質の分泌のバランスが崩れると、気持ちの症状にも影響を与えます。

対策は・・・

余力の減った脳をいたわること

まずエネルギー補給の源の食事、量より質が大切で、ビタミンやミネラル類を普段より意識して食べるようにするといいですね。

次に睡眠で、深部温度が少し下がると眠りやすくなるので、寝る前にぬるめのお風呂や足湯で軽く温めておくと、皮膚から放熱して睡眠を促します。

扇風機を利用したり、エアコンで温度を下げたりするほか、熱のこもりにくい寝具もいいです。

忙しくても脳が喜ぶ楽しいことに時間を作るようにする。

対策をしても気分の落ち込みが改善しない場合は、心の専門家を訪ねるようにする。

最近では“疲れ”は体の疲れよりも“自律神経”の疲れが大きいともいわれています。

体の負担が増えやすい時期ですので、なるべく対策したいですね。

2023年7月1日土曜日

がんの原因の1位は何か?

日本人の男性の3人に2人、女性の2人の1人が、一生の間にがんに罹患しています。 それだけ、長生きしているということも言えるのかもしれませんが、がんになった本人や家族、周りの方には、大変な問題です。 日本人のがんの1番にあげられる原因は・・ 現在の日本人でがんの原因の1位は、“感染症”です。 胃がんの原因の多くを占める「ピロリ菌」 子宮頸がんの原因になる「ヒトパピローマウイルス」 肝がんの原因になる「肝炎ウイルス」 親からの体質は似ますので、遺伝的な要因もありますが、数%とされ、多くはありません。 そのほかに、たばこ、大量飲酒、ストレス、運動不足・・・ 完全にリスクを「0」にすることはできませんが、感染症のリスクは減らせますし、 生活習慣の改善で他の原因のリスクも減らせます。 胃がんはステージⅠで発見された場合は、5年生存率は90%以上になっていて、早期発見・早期治療が大きな分かれ道になります。